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アミノ酸は20種類もある!

アミノ酸は20種類もある!
体づくりに役立つアミノ酸の効果とは

「アミノ酸」は一括りにされがちな栄養素ですが、実は20種類も存在します。アミノ酸はそれぞれに特徴があり、私たちが健康的な生活を送るのに欠かせない成分です。この記事では、20種類あるアミノ酸の特徴や多く含まれる食品を紹介します。

アミノ酸とは

アミノ酸は「タンパク質」を構成する20種類の有機化合物で、どれか一つでも欠けるとタンパク質を構成できないと言われています。タンパク質は「体づくりに役立つ」というイメージの通り、人間の体を構成している要素としては水に次いで多い栄養素です。人間の体は水が60%を占めていますが、残りの40%のおよそ半数はタンパク質が占めると言われています。アミノ酸は20種類のなかでも、9種類の「必須アミノ酸」と11種類の「非必須アミノ酸」に分けられます。非必須アミノ酸は体内で作り出すことができますが、必須アミノ酸は体内で十分な量を生成できないため、食べ物から積極的に摂取しなければいけません。

アミノ酸の種類一覧と含まれる食品

9種類の必須アミノ酸と、11種類の非必須アミノ酸は次のとおりです。それぞれ多く含まれる食品も参考にして、日常の食生活に取り入れてみてください。

<必須アミノ酸が多く含まれる食品一覧例>

名称 多く含まれる食品
バリン マグロ、牛豚レバー、プロセスチーズ、豆腐など
ロイシン カツオ、鶏むね肉、卵など
イソロイシン マグロ、豚ロース赤身、卵など
メチオニン マグロ、鶏むね肉、豚ロース赤身、無調整豆乳など
リジン カツオ、マアジ、凍り豆腐など
フェニルアラニン 牛レバー、マグロ、鶏むね肉など
トリプトファン カツオ、牛豚レバー、卵、プロセスチーズなど
スレオニン マグロ、豚ロース赤身、鶏むね肉、凍り豆腐、プロセスチーズなど
ヒスチジン カツオ、マグロ、イワシなど

<非必須アミノ酸が多く含まれる食品一覧例>

名称 多く含まれる食品
アルギニン イセエビ、豚ロース赤身、鶏むね肉、無調整豆乳など
グリシン 牛肉、豚肉、鶏肉など
アラニン 牛豚レバー、貝類など
セリン 牛乳、大豆、高野豆腐など
チロシン マグロ、豚ロース赤身、凍り豆腐など
システイン 牛豚レバー、卵など
アスパラギン アスパラガス、豆類など
グルタミン 牛豚レバー、大豆など
プロリン ゼラチン、チーズ、大豆製品など
アスパラギン酸 桜エビ、ゼラチン、大豆製品など
グルタミン酸 昆布、野菜、チーズなど

代表的な20種類のアミノ酸の効果一覧

タンパク質を構成するのに欠かせない20種類の必須アミノ酸と非必須アミノ酸ですが、それぞれどんな役割を果たしているのか詳しく解説します。

【必須アミノ酸】バリン

必須アミノ酸のイソロイシン、ロイシンとあわせて「BCAA」と呼ばれており、運動するときに筋肉のエネルギー源となる大切なアミノ酸です。バリンは疲労回復やお肌のハリを保つために役立つと言われており、体の成長のためにも欠かせません。

【必須アミノ酸】ロイシン

必須アミノ酸のバリン、イソロイシンとあわせて「BCAA」と呼ばれており、運動するときに筋肉のエネルギー源となります。筋肉を大きくしたり、傷ついた筋肉の機能を回復させてくれたりなど、トレーニングを行う上で欠かせないアミノ酸と言えるでしょう。ロイシンはほとんどのタンパク質に含まれるため、不足しにくいアミノ酸と言われています。

【必須アミノ酸】イソロイシン

必須アミノ酸のバリン、ロイシンとあわせて、運動するときに筋肉のエネルギー源になるアミノ酸として「BCAA」と呼ばれています。イソロイシンは筋肉を大きくしたり、肝臓の機能を向上させてくれたりなどの効果が期待できるほか、血糖値の上昇を抑える効果についても研究が進められています。

【必須アミノ酸】メチオニン

体内でタンパク質を作り出す際に最初に必要となるアミノ酸です。メチオニンが不足するとタンパク質の合成に影響を及ぼすほか、肝臓の機能が衰えて血中のコレステロール値が高まる可能性があると言われています。

【必須アミノ酸】リジン

体内でタンパク質を作るときの組み立てに大きく影響するアミノ酸です。リジンは脂肪をエネルギーにするために役立つと言われています。小麦や米などの穀物にあまり含まれないため、穀物を主食としている日本人に不足しやすいアミノ酸と言えるでしょう。

【必須アミノ酸】フェニルアラニン

脳内神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの材料となるアミノ酸と言われており、生理活性を目的としてサプリメントにも用いられることがあります。合成甘味料アスパルテームの原料にもなります。

【必須アミノ酸】トリプトファン

幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」や、睡眠の質に関わる「メラトニン」の材料になると言われています。そのため、トリプトファンを摂取して睡眠を改善したり、ストレス軽減に役立てたりする取り組みも進められています。

【必須アミノ酸】スレオニン

「最後に発見されたアミノ酸」と言われており、体内では合成することができません。スレオニンは体の成長をはじめ、肝機能や肌の健康にも影響を与えると言われています。

【必須アミノ酸】ヒスチジン

大人の体内では合成できるものの、子どもの体内では合成できないアミノ酸と言われています。そのため、子どもはヒスチジンが不足しやすく、十分に摂取できないと湿疹ができたり、貧血になったりするなどのトラブルを引き起こす可能性があります。

【非必須アミノ酸】アルギニン

タンパク質の合成に欠かせない重要なアミノ酸です。成長ホルモンの分泌を促す役割があるので成長過程に不足しやすく、小児においては必須脂肪酸に分類されます。アルギニンは脂肪の代謝などを調節するインスリンの分泌を促したり、傷ついた筋肉の回復を行なったりする効果が期待できます。

【非必須アミノ酸】グリシン

健康的なお肌を保つために注目される「コラーゲン」の約1/3を占めるアミノ酸です。体内のタンパク質においても約1/3を占めると言われるほど重要なアミノ酸で、ゼラチンの原料にもなります。コラーゲンを作るためにはビタミンCが必要なので、グリシンとあわせてビタミンCも積極的に摂取することでハリのあるお肌を保つのに役立つでしょう。

【非必須アミノ酸】アラニン

ほとんどのタンパク質に含まれると言われるアミノ酸です。グルタミン酸とピルビン酸で構成されており、人間が活動するために必要なエネルギーである「グルコース(ブドウ糖)」に変わりやすいと言われています。

【非必須アミノ酸】セリン

非必須アミノ酸のグリシンやグルタミンなどから作られています。脳機能や睡眠の質、皮膚などへの影響が報告されており、サプリメントに配合されることが多いアミノ酸でもあります。

【非必須アミノ酸】チロシン

必須アミノ酸であるフェルアラニンから作られるアミノ酸です。そのため、チロシンを積極的に摂取するとフェルアラニンの消費を抑えられると言われています。チロシンは神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンの分泌に関わっているため、脳機能の活性化やメンタルケアを目指したい方は注目してみてください。

【非必須アミノ酸】システイン

硫黄を含むアミノ酸で抗酸化作用やメラニンの生成を抑制する働きが期待できることから、化粧品やサプリメントに配合されているケースもあります。システインは、エネルギーを作るサポートをする働きもあると言われています。

【非必須アミノ酸】アスパラギン

必須アミノ酸であるスレオニンとは反対に「最初に発見された非必須アミノ酸」と言われており、アスパラガスから発見されたため、「アスパラギン」と呼ばれています。アスパラギンはエネルギー代謝を促進させる効果が期待できます。

【非必須アミノ酸】グルタミン

グルタミン酸とアンモニアから作られるアミノ酸で、体内にもっとも多く含まれるため準必須アミノ酸とも呼ばれています。筋肉の疲労回復や胃腸の働きを助ける効果が期待できると言われています。

【非必須アミノ酸】プロリン

コラーゲンを作るために大切なアミノ酸の一つで、体内ではグルタミン酸などから作られます。体内でコラーゲンを合成することによって、スムーズな関節の動きや健康的なお肌を保つために役立つと言われています。

【非必須アミノ酸】アスパラギン酸

利尿作用を持つアミノ酸の一種で、アンモニアを体の外に排出したり、疲労物質の乳酸をエネルギーに変えたりする役割があると言われています。人工甘味料であるアスパルテームの原料としても使われています。

【非必須アミノ酸】グルタミン酸

ストレスを軽減する成分と言われる「GABA」を生成するために必要なアミノ酸です。また、うま味物質として調味料に配合されていることが多い成分とも言われています。

20種類以外のアミノ酸とは

必須アミノ酸と非必須アミノ酸のほかも、実はシスチンとテアニンという2種類のアミノ酸が存在しています。シスチンは非必須アミノ酸のシステインが結合したもので、肉類に多く含まれています。テアニンは非必須アミノ酸のグルタミン酸とエチルアミンが結合したもので、お茶の葉などに含まれるアミノ酸です。この2種類のアミノ酸は免疫の向上をサポートしてくれると言われています。

20種類のアミノ酸を効率的に摂取する方法

良質なタンパク質は構成するアミノ酸のバランスが整っていると言われています。そのため、できるだけたくさんのアミノ酸をバランス良く摂取するのがおすすめです。20種類のアミノ酸を効率的に摂取するためにも、次の2つのポイントに気をつけてみてください。

栄養バランスに気をつけながらタンパク質を積極的に摂取する

アミノ酸はタンパク質が豊富な食品から摂取すると、たくさんのアミノ酸を摂取できます。タンパク質は肉類や魚類をはじめとする動物性タンパク質だけでなく、豆腐やブロッコリーなどに含まれる植物性タンパク質を、バランス良く摂取するのがおすすめです。また、筋肉を作るためにはタンパク質だけでなく脂質やビタミン、ミネラルが必要となるほか、健康的なお肌を作るコラーゲンを合成するためにはタンパク質のほかにビタミンCが必要と言われています。タンパク質以外の食品もバランス良く取り入れ、健康的な体づくりを実現しましょう。

サプリやプロテインなどを活用する

栄養バランスの取れた食事が基本となるものの、食事だけで必要な栄養素をすべて補うのが難しい場合、サプリやプロテインなども活用するのがおすすめです。プロテインは摂取カロリーや脂質の量を抑えて、効率的にタンパク質が補給できます。なかでもホエイプロテインは運動するときのエネルギー源となる必須アミノ酸「BCAA」が多いと言われているので、積極的に取り入れてみてください。

20種類のアミノ酸はバランス良く摂取しよう

アミノ酸は人体を作る成分なので、健康的な生活を送るために欠かせないものです。アミノ酸はタンパク質を構成しているため、食事やプロテインなどでタンパク質を摂取すると効率的に取り入れられるでしょう。アミノ酸の種類によって多く含まれる食品が違うので、偏らずにさまざまな種類のタンパク質を摂取すると健康的な体づくりにつながるでしょう。

本記事の監修者

医学博士・永田孝行

一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士

生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。
主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。

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