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アミノ酸スコアとは?

アミノ酸スコアとは?
計算式や数値が高い食品を紹介

栄養バランスを意識した食事をするうえで、アミノ酸スコアを良くしたいと考えている方も多いと思います。そんな方に向けて、この記事ではアミノ酸スコアの計算方法を紹介します。他にもアミノ酸スコアが高い食品・アミノ酸スコアを意識した食事の注意点を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

アミノ酸スコアとは?

アミノ酸スコアは、食品が持つ必須アミノ酸のバランスを数値化した指標で、その食品のタンパク質の質を示すものです。このスコアが高いほど、食品にはバランス良く必須アミノ酸が含まれていると評価されます。スコアの最大値は100で、この数値に近いほど優れたタンパク質源として認識されます。

では、どのようにしてアミノ酸のバランスが評価されるのでしょうか。ここで「アミノ酸の桶の理論」を考えると、理解が深まります。

タンパク質は20種類のアミノ酸から成り立っていますが、その中でも体内で生成できない、つまり、外部からの摂取が必要なアミノ酸が9種類存在します。これを必須アミノ酸と言います。例え8種類のアミノ酸が豊富に含まれていても、1種類が少なければ、その少ないアミノ酸の分だけしか、タンパク質が生成されなくなってしまうのです。この概念を桶の理論として捉えると、桶の一番低い板(最も少ないアミノ酸)によって桶の容量(タンパク質の生成能力)が決まる、という考え方となります。

このように、アミノ酸スコアは、食品が提供するタンパク質の質を示す指標として、健康や栄養バランスを考えるうえで非常に有用です。食事の中でのタンパク質の取り方や選び方を考慮する際の一つの手がかりとして、アミノ酸スコアを活用することが推奨されています。

アミノ酸スコアの計算式

ここまでアミノ酸スコアの計算方法を理解することで、毎日の食事でアミノ酸スコアの高い組み合わせを目指せます。アミノ酸スコアの基本的な計算式は、以下の通りです。

アミノ酸スコア=食品タンパク質中のアミノ酸含有量 / アミノ酸評定パターンの当該アミノ酸量 × 100

この計算式を用いて各アミノ酸のスコアを求め、その中で最も数値が小さかったアミノ酸を「第1制限アミノ酸」と呼びます。実際にアミノ酸スコアが評価される際は、この第1制限アミノ酸に基づくスコアが使用されるのが一般的です。

たとえば、以下はアミノ酸スコアが高い食品である「あじ」の各スコアを算出した表です。

あじに含まれるアミノ酸 アミノ酸評点パターン アミノ酸含有量 アミノ酸スコア
イソロイシン 30 52 173
ロイシン 59 92 156
リシン 45 110 244
含硫アミノ酸 22 48 218
芳香族アミノ酸 38 88 232
トレオニン 23 54 235
トリプトファン 6 14 233
バリン 39 59 151
ヒスチジン 15 47 313

このようにあじは、全てのアミノ酸でスコアが100を超えているため、アミノ酸スコアが100になります。全ての項目で100を超えてはいますが、最もスコアが低いものはバリンになるため、あじにおける第1制限アミノ酸はバリンになるのです。

続いて、以下はアミノ酸スコアが低い食品である「そうめん」の各スコアを算出した表です。

そうめん アミノ酸評点パターン アミノ酸含有量 アミノ酸スコア
イソロイシン 30 41 137
ロイシン 59 82 139
リシン 45 22 49
含硫アミノ酸 22 43 195
芳香族アミノ酸 38 94 247
トレオニン 23 31 135
トリプトファン 6 13 217
バリン 39 48 123
ヒスチジン 15 26 173

そうめんはロイシンのスコアが100を超えていないため、アミノ酸スコアは49になってしまいます。このとき、あじと同じように、スコアが一番低いロイシンが第1制限アミノ酸になるのです。

また、計算式中の分母に位置する「アミノ酸評点パターン」は、FAO、WHO、UNUなどの国際機関で定められている数値です。長年、1985年にFAO, WHO, UNUにより示されたアミノ酸評点パターンをもとに規定されていましたが、諸損失分への考慮がなされていなかったことにより、2007年に改訂が実施され今の数字になりました。

アミノ酸スコアが高い食材

栄養バランスに優れた食生活を送るためには、アミノ酸スコアが高い食品を積極的に取り入れることが大切です。

<アミノ酸スコアが高い食品>

食品 アミノ酸スコア
まぐろ 100
豚肉 100
鶏卵 100
生乳 100
玄米 100

基本的に、タンパク質を多く含む食材ほど、アミノ酸スコアが高くなる傾向にあります。うまく食生活に取り入れて、健康的な体づくりを目指しましょう。

アミノ酸スコアが低い食品は食べないほうが良いの?

アミノ酸スコアが低い食品を食べることは、必ずしも悪いことではありません。事実私たちが多く口にする日常食品、例えば白米、パン、野菜類などはアミノ酸スコアが低い傾向にありますが、それらが健康に悪いというわけではありません。

<アミノ酸スコアが低い食品>

食品 アミノ酸スコア
チンゲンサイ 77
緑豆もやし 77
たまねぎ 66
そうめん 49
はとむぎ 40

アミノ酸スコアの考えを日常の食生活に取り入れる際のポイントは、以下の3つです。

  • 組み合わせることでバランスを取る

アミノ酸スコアが低い食品でも、他の高スコアの食品と組み合わせることで、体に必要なアミノ酸を効果的に摂取できます。

  • アミノ酸スコアだけに固執しない

食品の価値はアミノ酸スコアだけではありません。糖質やビタミン、ミネラルなど他の栄養素の含有量やバランスも考慮しましょう。

  • 総合的な食習慣を意識する

一つの食品のスコアだけに目を向けるのではなく、日常の食事全体でバランスを取ることが健康維持の鍵となります。

総じて、アミノ酸スコアが低いからといってその食品を避けるのではなく、全体の食事バランスを考慮し、さまざまな食品を組み合わせて摂取することが大切です。食事の選び方一つで、健康的な生活をサポートすることが可能です。

アミノ酸スコアを考えた食事づくりの注意点

アミノ酸スコアは、食品中の必須アミノ酸のバランスや利用効率を示す指標として非常に役立ちますが、利用していくうえでは注意点があります。

アミノ酸スコアでは実際の含有量は考慮されない

まず一つ目の注意点は、アミノ酸スコアが高いとしても、その食品のアミノ酸の実際の含有量や絶対量まで評価するものではない、という点です。

もし、アミノ酸の絶対量が足りていない場合、タンパク質不足のリスクが高まる可能性があります。タンパク質不足を防ぐためにも、食事の際にはアミノ酸スコアだけでなく、タンパク質の含有量や食品の総摂取量もしっかりと確認することが大切です。バランス良くアミノ酸を摂取することは重要ですが、実際の含有量も忘れずにチェックしましょう。

調理方法によっては吸収効率が悪くなることもある

アミノ酸スコアが100という数字は、食品中の必須アミノ酸のバランスが良好であることを示していますが、実際の摂取効率は調理方法によって大きく影響を受けてしまいます。

たとえば、過度な加熱処理によりアミノ酸を破壊してしまったり、アルカリ処理によりアミノ酸の構造を変え吸収を低下させてしまったりするリスクがあります。

このように、食品のアミノ酸スコアが100であっても、調理方法や加工の過程によっては体内での利用効率が低下する可能性があるのです。「アミノ酸スコアが100なので安心」という考えは危険であり、日々の食事や調理の際には、食材の取り扱い方や調理法にも注意を払うことが大切です。

アミノ酸スコアを計算して健康的な食習慣を

アミノ酸スコアは、食品に含まれるアミノ酸のバランスを示す指標です。最大スコアは100で、この数値が高い食品はアミノ酸のバランスが良いとされます。計算式に基づき、特定の「第1制限アミノ酸」を基にスコアが算出されるため、全ての必須アミノ酸をバランス良く摂取することが推奨されます。一方、スコアが低い食品も適切な組み合わせで摂取することで、バランスの良い食事を目指すことが可能です。スコアだけでなく実際の含有量や調理方法も考慮しながら、総合的な食習慣の見直しを心がけていきましょう。

本記事の監修者

医学博士・永田孝行

一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士

生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。
主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。

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