女性がホエイプロテインを
飲むデメリットは?
女性がホエイプロテインを飲むデメリットは?
うれしいメリットと摂取のポイント
「女性が飲むならソイプロテイン」という意見を耳にしますが、ホエイプロテインも女性にとってうれしいメリットがたくさんあります。しかしデメリットがあるのも事実です。そこで今回はホエイプロテインのデメリットやメリット、効果的な摂取方法をわかりやすく解説します。
そもそもホエイプロテインとは?
ホエイプロテインのホエイとは、牛乳からチーズを作る際に出る上澄みのことです。ヨーグルトを開けたときに白い部分と分離している水のような液体もホエイです。ホエイプロテインに含まれるタンパク質は牛乳から抽出されるため、動物性プロテインと言われています。
低カロリーで栄養バランスに優れたプロテイン
ホエイプロテインは牛乳に含まれる脂肪分や固形物を抜いているため、比較的カロリーが少なく、タンパク質をはじめビタミンやミネラル、アミノ酸が含まれています。また、プロテインの種類によってはハリのあるお肌づくりに役立つコラーゲンや、筋肉づくりに役立つHMBなどを配合したものもあり、効率的に必要な栄養素を補給できるのが魅力です。
カゼインプロテインやソイプロテインとの違いは?
プロテインは大きく次の3種類に分けられます。
プロテインの種類 | ホエイプロテイン | ソイプロテイン | カゼインプロテイン |
---|---|---|---|
原料 | 牛乳 | 大豆 | 牛乳 |
タンパク質の種類 | 動物性タンパク質 | 植物性タンパク質 | 動物性タンパク質 |
吸収スピード | 早い | ゆっくり | ゆっくり |
抽出方法 | チーズを作るときに残る上澄み(ホエイ)から抽出 | 大豆のタンパク質を精製し、粉末化 | 牛乳からホエイと脂質を取り除いた残りの部分から抽出 |
特徴 |
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ホエイプロテインもカゼインプロテインも牛乳由来であることは同じですが、抽出する部分が違うので、含まれる栄養素をはじめ吸収のスピードが違います。ソイプロテインは大豆由来なのでカロリーや脂質が低く、ヘルシーなプロテインとして女性に人気があります。
ホエイプロテインの気になるデメリット
栄養素が豊富で素早く体内に吸収されるホエイプロテインですが、メリットが多い反面、デメリットも存在します。ホエイプロテインを取り入れようと考えている人は、デメリットもあわせて知っておきましょう。
お腹の調子が悪くなる可能性がある
ホエイプロテインやカゼインプロテインは牛乳由来なので、乳糖不耐症の人が飲むとお腹の調子が悪くなる可能性があります。しかし、ヨーグルトやチーズは加工される段階で乳糖が減ると言われています。ホエイプロテインは牛乳を加工して抽出するので、牛乳と比較するとお腹のゴロゴロを感じにくいと言えるでしょう。
体を作るために活用できるタンパク質には限界がある
体を作るために活用できるタンパク質は、筋トレ(レジスタンストレーニング)を実施する人でも1.62 g/kg体重/日が限界という研究データの解析結果があります。そのため、運動量が少ない生活をしている人がホエイプロテインを取り入れても理想とする体づくりにつながらない可能性があるでしょう。タンパク質を有効に活用するためにも、まずは自分に必要なタンパク質の量を把握し、プロテインをどのくらい摂取するべきなのかを知っておくのがおすすめです。
カロリーオーバーになることがある
ホエイプロテインはカロリーを抑えてタンパク質を効率的に摂取できるものの、水やお茶のような感覚で飲んでしまうと摂取カロリーオーバーになる可能性があります。プロテインは一般的に1杯あたり50〜150kcalであることがほとんどです。プロテインを牛乳で割って飲むとカロリーはもちろん、脂質も増えるので注意しましょう。
腹持ちが良くない
ホエイプロテインはほかのプロテインと比較して吸収のスピードが早いため、運動後や空腹時に摂取することで筋肉の分解を抑制したり、傷ついた筋肉を修復したりする効果が期待できますが、腹持ちが良くないというデメリットがあります。消化のスピードが早いので、おやつ代わりに取り入れるとすぐにお腹が減ってしまう可能性もあるでしょう。
女性にうれしいホエイプロテインのメリット

ホエイプロテインは女性にとってうれしいメリットがあると言われています。
脂質を抑えてタンパク質を効率的に摂取できる
女性は一般的に男性よりも脂肪がつきやすいので、脂質を気にしている方も多いでしょう。ホエイプロテインは牛乳に含まれる脂質や固形物を取り除いているので、脂質を抑えてタンパク質を摂取できるのが特徴です。タンパク質が豊富な食品である鶏肉ですが、ホエイプロテインと比較すると脂質をはじめとする栄養素に大きな差があります。
ホエイプロテイン ※1回分 (31g)あたり |
鶏肉(モモ、皮付き) ※100gあたり |
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---|---|---|
エネルギー | 120kcal | 234kcal |
タンパク質 | 20.6g | 17.3g |
脂質 | 1.7g | 19.1g |
炭水化物 | 5.4g | ー |
食塩相当量 | 0.16g | 0.1g |
ホエイプロテインの方が炭水化物は多いものの、タンパク質の含有量をはじめ、脂質やカロリーの面で見ても優れていると言えます。
体の内側にもうれしい効果が期待できる
ホエイプロテインはほかのプロテインと比較して必須アミノ酸であるBCAAが豊富に含まれています。必須アミノ酸は体の中では十分に作り出せないため、食品で摂取するしかありません。BCAAは必須アミノ酸の中でも筋肉づくりに役立つと言われているので、しなやかな体を目指したい女性におすすめです。また、ホエイプロテインに含まれるトリプトファンは幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌を促進し、ラクトフェリンは内臓脂肪の減少をサポートすると言われています。
タンパク質は肌や髪の健康を保つのに役立つ
人間の体の約6割は水でできていますが、残りの4割の約半数はタンパク質で構成されています。そのため、タンパク質は筋肉づくりだけでなく、健康的な生活や見た目を作るためにも欠かせない栄養素なのです。たとえば、タンパク質は肌や髪、爪を作るためにも使われています。スキンケアやサプリ、髪のトリートメントなど、ケアに手間をかけても変わらないのはタンパク質不足が原因となっているかもしれません。
ホエイプロテインを効果的に摂取するポイント

ホエイプロテインを効果的に摂取するためには、飲むタイミングや取り入れ方に気をつけるのがおすすめです。次の2つのポイントを意識して、ホエイプロテインの効果を最大限に活かしましょう。
吸収スピードが早いので運動後すぐに飲むのがおすすめ
ホエイプロテインは吸収のスピードが早いので、運動後の疲労回復や傷ついた筋肉の回復に役立ちます。また、起床してすぐの栄養が不足している状態が続くと、体は筋肉に含まれるタンパク質を分解してエネルギーに変えようとすると言われています。空腹のタイミングで吸収スピードが早いホエイプロテインを摂取して筋肉の分解を防ぐのがおすすめです。
プロテインだけでなく食事の栄養バランスにも気を使う
筋肉を作るためにはタンパク質だけでなく、脂質やビタミン、ミネラルが必要と言われています。そのため、プロテインで栄養を補給しようと考えるのではなく、あくまでプロテインは食事で不足した栄養素を補うためのサポート役という位置付けと認識しておきましょう。主食、主菜、副菜、汁物など、食事のバランスを整えて体の土台をしっかり作ることが、理想的な体づくりにつながります。
女性が選ぶべきホエイプロテインとは?
女性がホエイプロテインを取り入れるときは、次のポイントに気をつけて選ぶのがおすすめです。
- 十分なタンパク質が含まれている
- 飲みやすい
- カロリーが抑えられている
- タンパク質以外の栄養素も含まれている
製品によってはタンパク質量が豊富なだけでなく、筋肉作りに大きなメリットがあるHMBカルシウムのように体にうれしい栄養素も含んだ魅力的なホエイプロテインもあります。
高齢者もホエイプロテインを飲んで問題ない?

年齢を重ねると食欲が落ちてきたり、脂質が多い動物性タンパク質がなかなか摂取できなかったりと、タンパク質が不足する可能性があります。高齢者が不足しがちな栄養素を補助する目的として、ホエイプロテインを取り入れることは有効と言えるでしょう。ホエイプロテインは粉っぽさがあるソイプロテインと比べて飲みやすいのも、高齢者にホエイプロテインをおすすめする理由の一つです。また、年齢を重ねると骨密度、骨量が低下すると言われているため、タンパク質だけでなくカルシウムも配合されたホエイプロテインを毎日の習慣として取り入れてみてください。
ホエイプロテインは女性の優れたサポート役!
「ホエイプロテインは太る」「ホエイプロテインはお腹を壊す」という意見もありますが、ホエイプロテインはメリットがたくさんあります。運動する人や忙しい人にとって吸収が早いホエイプロテインは強い味方と言えるでしょう。食事の栄養バランスを整えながら、不足しがちなタンパク質をプロテインで摂取してみてください。
本記事の監修者

医学博士・永田孝行
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。
主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会
公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/