BCAAを寝る前に摂る効果と
注意点!
BCAAを寝る前に摂る効果と注意点!
摂取する適量・寝る前以外の摂取タイミングも紹介
筋肉のエネルギー代謝や合成などに深く関わると考えられているBCAA(分岐鎖アミノ酸)。筋トレ・ダイエットをしている方であれば、意識的に摂取しているという人も多いでしょう。この記事では、BCAAを寝る前に摂ることによる効果や注意点を解説していきます。また、寝る前に摂取すべき量・寝る前以外に摂取するタイミングも紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
寝る前に摂取したBCAA(アミノ酸)は体内でどう働く?
BCAAは「分岐鎖アミノ酸」とも呼ばれる特定のアミノ酸のグループを指します。具体的には、必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸から成り立っています。アミノ酸はタンパク質の基本的な要素であり、私たちの体にとって、筋肉の成長や修復、エネルギーの生成など多岐にわたる重要な役割を果たしています。
寝る前にBCAAを摂取すると、この特定のアミノ酸が体内でさまざまな働きを行います。特に、筋肉の保護や回復、エネルギー供給における役割が注目されています。BCAAが体内でどのように働くのか、主なポイントを3つに絞って詳しく見ていきましょう。
筋肉の分解防止
一つ目の効果は、筋肉の分解防止です。私たちは、睡眠中にもエネルギーを消費しています。エネルギーは通常、体に保存されているグリコーゲンという糖から供給される仕組みです。しかしグリコーゲンが十分でない場合、体は他のエネルギー源を求め、筋肉の分解を始める可能性があります。筋肉の分解は、運動をしている方や筋肉量を増やそうとしている方には、好ましくない事態でしょう。
BCAAを睡眠前に摂取することで、グリコーゲンに変わるエネルギー源となります。夜間の筋肉分解を効果的に抑制し、筋肉量の維持につながります。
筋肉の合成促進
二つ目の効果は、筋肉の合成促進です。タンパク質の合成は筋肉の成長や修復に不可欠で、特に睡眠中には活発になります。BCAAは、タンパク質合成を促進する作用を持っており、筋肉の回復や増強に役立ちます。なかでも、特にロイシンは筋肉の合成に効果があると考えられています。積極的に摂取することを心がけましょう。
疲労軽減
三つ目の効果は、疲労の軽減です。グリコーゲンが不足し、代わりに筋肉がエネルギー源として消費されるようになると、筋肉の疲労や損傷につながる可能性があります。グリコーゲンが不足しやすいタイミングでBCAAを摂取すると、代替のエネルギー源として機能するため、筋肉がエネルギー源となるのを防ぐことができます。その結果、筋肉の疲労や損傷を軽減することに繋がります。
BCAAを寝る前に摂る際の注意点
寝る前の摂取で高い効果を発揮してくれるBCAAですが、摂取する際には注意点もあります。
- 摂取カロリーに注意
- BCAA以外のアミノ酸も摂取する
- トリプトファンの吸収を妨げる可能性がある
- プロテインとの併用に注意する
誤った摂取方法でBCAAを摂取すると、摂取効率が悪くなるほか、体に不要な負担を与えてしまう可能性があります。事前に注意点を知っておき、正しく摂取することを心がけましょう。
摂取カロリーに注意
まず摂取カロリーには気をつけましょう。就寝前に高カロリーなものを摂取すると、消化に時間がかかり、胃や消化器官に不要な負担をかける可能性が高まります。また、消化の過程が睡眠中に続くと、体脂肪の蓄積を助けるリスクも上がります。
BCAA自体のカロリーは1g当たり4kcalです。比較的低カロリーであるとはいえ、実際の摂取方法や食材、調理法によってはカロリーが増加することもあります。例えば、シェイクやプロテインバーの形でBCAAを摂取する場合、その他の成分や加工方法によってカロリーが高まることが考えられるので他の食材のカロリーも含めて摂取量を決めるようにしましょう。
BCAA以外のアミノ酸も摂取する
続いての注意点は、BCAA以外のアミノ酸も摂取しなければならないという点です。BCAAは、食品から摂取することが不可欠である必須アミノ酸のうち、3種類分しかカバーできていません。
BCAAだけ摂取しても、タンパク質の生成効率が悪くなってしまいます。他のアミノ酸も含めて、バランス良く摂取することを心がけましょう。
トリプトファンの吸収を妨げる可能性がある
トリプトファンはアミノ酸の一種です。アミノ酸トランスポーターから脳に入ることで、幸せのホルモンであるセロトニン・安眠のホルモンであるメラニンとなります。実はBCAAの運搬にも、アミノ酸トランスポーターが使われています。BCAAの摂りすぎにより、アミノ酸トランスポーターが十分に行き渡らなくなると、トリプトファンが運搬されなくなり、結果としてセロトニン・メラトニン生成が妨げられてしまいます。これにより、安眠できなくなる可能性があるので、BCAAの摂りすぎには注意をしましょう。
プロテインとの併用に注意する
ほとんどのプロテインには、BCAAが含まれています。BCAAは大量に摂取すれば良いというわけではありません。摂りすぎても、体内での吸収効率が悪くなるほか、もっと悪い場合内臓疲労につながる可能性があります。BCAAを単体で摂取している意味がなくなってしまうので、プロテインと一緒には摂取しないように注意してください。
寝る前のBCAAの適量
では実際にBCAAを寝る前に摂取しようと思ったら、どのくらいの量を摂取するのが良いのか解説します。
BCAAの効果を得るためには、BCAAの血中濃度が十分に高められるように量を調整することが大切です。そのために必要なBCAAの摂取量目安はおよそ2,000mg〜であると言われています。BCAAを2,000mg摂取するために必要な食品とその量をまとめました。
- 牛肉:70g
- マグロの赤身:40g
- 鶏卵:2個
- 牛乳:コップ2杯
寝る前のタイミングで食品からBCAAを摂取しようとすると、胃腸に負担がかかってしまうためおすすめできません。サプリを上手に用いて効率的に摂取していきましょう。
寝る前以外のBCAAの摂取タイミング
寝る前のBCAA摂取は筋肉の健康をサポートするうえで有効ですが、他のタイミングでの摂取も筋肉の保護や成長に非常に役立ちます。特に、運動前や運動中、起床直後は、BCAAの摂取が効果的であるとされています。
運動前・運動中
このタイミングでBCAAを摂取すると、血中のBCAA濃度が上昇します。運動中に必要なエネルギーとしてBCAAが活用され、筋肉の分解を防ぎながら、運動による疲労感も軽減されると言われています。
起床直後
人々が寝ている間、食事からのエネルギー摂取は途絶え、血中のアミノ酸濃度が低下します。これにより、筋肉が分解されやすい状態になります。起床後すぐのBCAA摂取によって、筋肉の分解を抑制し、筋肉の健康を保護する効果が期待されます。
摂取するタイミングを意識してBCAAを取り入れることで、筋肉の健康やパフォーマンスを最適な状態に保てるでしょう。
BCAAを効果的に摂取して筋トレ・ダイエットをサポートしよう
BCAAは筋肉のエネルギー代謝や合成に関わる重要な栄養素です。寝る前に摂取することで、筋肉の分解を防止し、筋タンパク質の合成を促進、疲労を軽減する効果が期待されます。寝る前の適量は、BCAAを2,000mg以上摂取することが推奨されており、サプリを上手に用いて摂取するのがおすすめです。寝る前以外では、運動前や運動中、起床後が摂取の最適タイミングとされています。正しい知識と適切なタイミングでの摂取で、筋トレ・ダイエットをサポートしていきましょう。
本記事の監修者
医学博士・永田孝行
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。
主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会
公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/