BCAA(アミノ酸)は
プロテインの代わりに
ならない!
BCAA(アミノ酸)はプロテインの代わりにならない!
アミノ酸とプロテインの役割の違いとは
プロテインやBCAAは、トレーニングに欠かせないものとして重宝している方が多いのではないでしょうか。実はプロテインとBCAAにはそれぞれ違う役割があります。この記事ではBCAAとプロテインの違いや、使い分ける方法、飲むタイミングなどを解説します。
BCAA(アミノ酸)はプロテインの代わりになる?

プロテインの主成分であるタンパク質は20種類のアミノ酸で構成されており、BCAAもタンパク質を構成するアミノ酸に含まれています。しかしBCAAはプロテインの代わりにはならないので気をつけましょう。その理由を詳しく紹介します。
プロテインに含まれるタンパク質とBCAA(アミノ酸)は同じ?
BCAAとは必須アミノ酸の一種であるバリン、ロイシン、イソロイシンのことを指します。必須アミノ酸は体内で十分な量が合成できないため、食品やサプリメントなどで摂取する方法しかありません。
BCAAはアミノ酸のなかでも体づくりに役立つと言われており、BCAAを配合した食品やサプリメントは効率的に必須アミノ酸を摂取できます。一方でプロテインの主成分であるタンパク質を合成する20種類のアミノ酸にはBCAAも含まれており、タンパク質は体内でアミノ酸に分解されるため、プロテインとBCAAは混同されることが多いのも事実です。
しかし、タンパク質が20種類のアミノ酸で合成されているのに対し、BCAAはバリン・ロイシン・イソロイシンに限定されるので、それぞれアミノ酸の種類や配合量に大きな違いがあると言えるでしょう。
BCAA(アミノ酸)だけで体づくりをするのは難しい
BCAAに特化した食品やサプリメントは、体内で合成できない必須アミノ酸のなかでも体づくりに役立つと言われるバリン、ロイシン、イソロイシンを効率的に摂取できます。しかし、ほかのアミノ酸は摂取できません。プロテインに含まれるタンパク質はBCAAを含む20種類のアミノ酸で構成されています。そのため、アミノ酸をバランス良く摂取するためにはプロテインのほうが適していると言えます。
また、良質な筋肉を作るためには、アミノ酸のバランスを数値化して評価した基準であるアミノ酸スコアが高い食品を積極的に摂取するのが理想的と言われています。その点BCAAはアミノ酸のバランスが偏っているため、アミノ酸スコアは低めです。アミノ酸のバランスに優れたタンパク質をプロテインから摂取し、必須アミノ酸BCAAを食品やサプリから摂取すると体づくりが進めやすいでしょう。
そもそもアミノ酸とプロテインの違いとは
BCAAはプロテインに含まれるタンパク質を構成しているアミノ酸の一部ではあるものの、それぞれ役割が違います。どちらも体づくりに役立つので、違いを理解して日常生活に上手に取り入れてみてください。
アミノ酸の役割と効果
アミノ酸はタンパク質を合成する成分であるだけでなく、人間の生命活動、生理機能に影響を及ぼす生理活性物質や神経伝達物質の材料になります。また、酸化するとエネルギーとして活用されることもあります。20種類あるアミノ酸はそれぞれ役割が違うのが特徴です。たとえばBCAAは筋肉の分解を防ぎ、筋肉のエネルギー源になる役割があるので、運動中や運動後、起床後などこまめに摂取すると筋肉の分解を防ぎやすくなるでしょう。
プロテインの役割と効果
プロテインの主成分はタンパク質なので、日常生活で不足したタンパク質を効率的に摂取できます。あまり知られていませんが、人間の体は約6割が水分でできているのに対し、残りの4割の半分はタンパク質が占めると言われています。このように、タンパク質は日常の運動量に関係なく、人体になくてはならない栄養素なのです。
タンパク質は筋肉の合成はもちろん、肌や髪、爪など見た目の美しさを作るためにも働いています。偏食の人や食事を抜く習慣がある人やダイエットをしている人はタンパク質が不足しやすいので、手軽にタンパク質を摂取できるプロテインは大きな味方と言えるでしょう。
BCAA(アミノ酸)とプロテインを使い分けるポイント

BCAAとプロテインにはそれぞれ違う効果があります。では、それぞれを日常生活に上手に取り入れるには、いつ、どのように飲むのが効果的なのか、詳しく解説します。
BCAAとプロテインを混ぜて飲むのはおすすめできない
BCAAとプロテインは役割も違いますが、吸収スピードも違うので、混ぜて飲むのはおすすめできません。それぞれにベストなタイミングは次のとおりです。
<BCAA>
運動中にエネルギーが不足すると、体は筋肉を分解してタンパク質をエネルギーとして使うことがあります。筋肉の分解を防ぐためには、運動前や運動中・運動後にBCAAを摂取するのがおすすめです。運動の前後にBCAAを摂取してみてください。
<プロテイン>
プロテインは運動の30分前後に飲むのがおすすめと言われています。プロテインのなかでもホエイプロテインは吸収のスピードが早いほか、BCAAが豊富に含まれているので筋肉の合成を高めたり、筋肉の疲労を回復したりするのに役立ちます。また、寝ている間も栄養素が不足して筋肉が分解されることがあります。睡眠中にタンパク質が分解するのを防ぎたいのであれば、吸収が遅いカゼインプロテインを寝る前に摂取してみてください。
過剰摂取に注意する
BCAAは吸収スピードが早く、消化する必要がないので胃でとどまらないで小腸に送られると言われています。そのため、過剰摂取すると小腸でアミノ酸濃度が高くなり、お腹がゴロゴロしてしまう可能性があるので飲みすぎには気をつけてください。また、甘くて飲みやすい味が多いプロテインは、飲み物の代わりとして常用するとカロリーオーバーになるかもしれません。その他にも吸収スピードが早いホエイプロテインとBCAAを同じタイミングで飲むと、相乗効果でお腹がゆるくなる可能性もあります。そうしたリスクを避けるためにも、摂取するタイミングをずらすのがおすすめです。
食事の栄養バランスに気をつけて摂取する
BCAAやプロテインに頼りすぎると栄養のバランスが偏る可能性があるので、注意が必要です。あくまでもプロテインやBCAAはサポート役と捉え、主食、主菜、副菜、汁物など栄養のバランスが整った食事を意識した生活を心がけましょう。タンパク質のバランスを評価したスコアであるアミノ酸スコアが高い食品は、卵や大豆、マグロなどが挙げられます。また、BCAAはマグロの赤身、かつお、鶏肉、牛肉、卵、牛乳に多く含まれています。食事を基本にして、不足している栄養素をプロテインやBCAAで摂取してみてください。
BCAA(アミノ酸)とプロテインの選び方
BCAAやプロテインを効率的に取り入れるなら、自分の生活やイメージする体づくりに合ったものを選ぶのがおすすめです。次の2つのポイントを意識して、理想のボディを目指してみてください。
BCAAが多く含まれるプロテインならホエイがおすすめ
プロテインはおもに次の3種類に分かれています。
ホエイプロテイン | ソイプロテイン | カゼインプロテイン | |
---|---|---|---|
原料 | 牛乳 | 大豆 | 牛乳 |
タンパク質 | 動物性タンパク質 | 植物性タンパク質 | 動物性タンパク質 |
吸収スピード | 早い | ゆっくり | ゆっくり |
抽出方法 | チーズを作るときに残る上澄み(ホエイ)から抽出 | 大豆のタンパク質を精製し、粉末化 | 牛乳からホエイと脂質を取り除いた残りの部分から抽出 |
特徴 |
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ホエイプロテインはBCAAが多く含まれると言われており、BCAAを強化したタンパク質を摂取したい方におすすめです。また、プロテインを長期的に摂取した運動介入において、ソイプロテインのように大豆由来のタンパク質よりも、ホエイプロテインのように乳由来のタンパク質を摂取したほうが筋肥大率が高かったという報告もあります。その理由としてBCAAの一種であるロイシンの含有量の高さが関わっていると言われているためです。効率的な体づくりを目指している方は、ホエイプロテインを選んでみてください。
パウダータイプのBCAAはこまめに摂取しやすい
BCAAは吸収スピードが早いため、こまめに摂取するのがおすすめです。パウダータイプのBCAAなら水に溶かして運動前や運動中、運動後などの水分補給に取り入れられます。また、BCAAだけでなくほかのアミノ酸も摂取できる商品を選ぶとアミノ酸スコアが高くなるでしょう。
BCAAとプロテインの役割を最大限に活かそう!
BCAAとプロテインは役割や目的が異なり、アミノ酸スコアも変わってきます。プロテインに含まれるタンパク質は分解されるとアミノ酸になりますが、BCAAとはアミノ酸のバランスが違います。BCAAはタンパク質の分解防止や筋肉の疲労回復に役立つので、プロテインでタンパク質を補給し、BCAAで必須アミノ酸を補うのがおすすめです。良質な筋肉作りを目指すなら、タイミングを見てBCAAとプロテインをあわせて活用してみてください。
本記事の監修者

医学博士・永田孝行
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。
主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会
公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/