プロテインには
どんな栄養素が含まれる?
プロテインにはどんな栄養素が含まれる?
成分ごとの役割や注意点についても解説
プロテインはアスリートや筋トレをしている方が飲むイメージが強いかもしれません。しかし、近年はプロテインが健康維持やダイエットを目的として取り入れられる機会も増えていて、一般の方にも広く利用されています。プロテインの効果を最大限に引き出すためには、含まれている栄養素について知ることが大切です。
この記事では、プロテインに含まれる栄養素の種類や特徴について解説します。プロテインを飲むときの注意点もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
プロテインの主な栄養素
プロテインは、日々の食事だけでは不足しやすいタンパク質を効率的に補うための栄養補助食品です。
「プロテインはタンパク質を補うもの」というイメージが強いかもしれませんが、製品によっては普段の食事で不足しがちなビタミン・ミネラルを補えるものもあります。ここでは、プロテインの主な栄養素の特徴について解説します。
タンパク質
タンパク質はアミノ酸が多数結合した化合物のことで、人間の筋肉や臓器、髪、皮膚などの組織を構成する重要な成分です。タンパク質を豊富に含む食品には、主に肉や魚、大豆製品、卵、乳製品などが挙げられます。
プロテインには「ホエイプロテイン」「カゼインプロテイン」「ソイプロテイン」の3種類あり、それぞれ原料や期待できる働きなどに違いがあります。
ビタミンC・ビタミンDなどのビタミン類
プロテインに含まれるビタミンには、ビタミンCやビタミンD、ビタミンB群などがあります。ビタミン類は3大栄養素(糖質、タンパク質、脂質)の代謝を助ける重要な働きをしますが、体内ではほとんど生成できないため、食事から補う必要があります。しかし、食事だけではどうしても不足しがちなので、ビタミン類が配合されたプロテインを選ぶと効率的に摂取できるでしょう。
カルシウムや鉄などのミネラル類
製品によっては、タンパク質に加えてカルシウムや鉄などのミネラル類が配合されているプロテインもあります。ミネラルは細胞の活動や筋肉の収縮をサポートしたり、歯や骨のもとになったりする成分で、3大栄養素と並ぶほど重要な栄養素です。ミネラルは体内で合成できないため食事から摂取する必要がありますが、それだけでは不足しがちです。ミネラル不足が気になる方は、ミネラルも配合されたプロテインを選ぶと良いでしょう。
プロテインと食品のエネルギー量の比較
プロテインから摂取したタンパク質と同程度のタンパク質を食事から摂る場合、食品ごとのエネルギー量にはどれほどの差があるのでしょうか。ここではホエイプロテインを例に、同程度のタンパク質量を食品で摂取した場合のエネルギー量を比較してご紹介します。
<一般食品とプロテインのエネルギー量の比較>(※1)
タンパク質 | エネルギー | |
---|---|---|
ホエイプロテイン | 20.6g | 120kcal(※2) |
鶏むね肉(皮つき) | 21.3g | 133kcal |
鶏ささみ肉 | 23.9g | 98kcal |
豚ロース肉 | 19.3g | 248kcal |
牛もも肉 | 21.3g | 176kcal |
サケ | 21.7g | 139kcal |
サバ | 20.6g | 211kcal |
(※1)食品100gあたりのタンパク質量とエネルギーを記載
(※2)XS™ ホエイプロテイン リッチバニラ1回分のエネルギー
プロテイン1杯分と同程度のタンパク質量を肉や魚から摂取する場合、鶏ささみ肉以外はプロテインよりカロリーが高く、1.5~2倍近くになるものあります。
タンパク質の1日の推奨量は、18~64歳の男性で65g、18歳以上の女性は50gです。必要なタンパク質を食品だけで補おうとすると、気づかぬうちにカロリーの過剰摂取になるかもしれません。また食材を調理する際には基本的に油や塩、砂糖などを使用するため、その分エネルギー量が増えることになります。カロリーオーバーを避けつつ必要なタンパク質量をしっかり確保したい方は、バランスの良い食事に加えてプロテインも活用すると良いでしょう。
プロテインの種類によって含まれるタンパク質は異なる
プロテインに配合されているタンパク質の種類は、製品によってさまざまです。
プロテインの種類には、牛乳を原料とする「ホエイプロテイン」と「カゼインプロテイン」、大豆を原料とする「ソイプロテイン」の3つがあります。ここでは、プロテインをご自身の目的に応じて活用できるように、それぞれのタンパク質の特徴についてご紹介します。
ホエイ
ホエイプロテインは、ヨーグルトの上澄み液に溶け込んだ乳タンパクを抽出したもので、市場に流通している多くのプロテインの原料となっています。吸収スピードが速いため、運動後のタンパク質補給に活用すると良いでしょう。
カゼイン
カゼインプロテインは、牛乳からホエイと脂肪分を取り除いてつくられるものです。カゼインプロテインは胃酸で固まるため、からだにゆっくり吸収されます。腹もちにも優れているため、就寝中のタンパク質補給を目的とした摂取や、ダイエット中の間食としての利用もおすすめです。
ソイ
ソイプロテインは大豆から抽出される植物性のタンパク質です。カゼインプロテインと同じく、吸収速度がゆっくりで腹もちが良く、ダイエット中でも満足感を得やすいとされています。ソイプロテインの原料は大豆なので、乳製品アレルギーの場合も安心して摂取できるでしょう。
タンパク質を構成するアミノ酸の役割
タンパク質は多数のアミノ酸から構成される化合物であり、タンパク質を構成するアミノ酸は全部で20種類です。
必須アミノ酸とは
20種類のアミノ酸のうち、下記の「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類のアミノ酸は体内では生成できないため、食品から摂取する必要があります。
<必須アミノ酸の種類>
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- スレオニン
- メチオニン
- フェニルアラニン
- トリプトファン
- リジン
- ヒスチジン
タンパク質の栄養価が高いかどうかは、タンパク質を構成するアミノ酸の種類と量によって決まります。良質なタンパク質とは、この必須アミノ酸が十分に含まれるタンパク質を指します。
アミノ酸スコアとは
必須アミノ酸がどのくらい含まれているのかを表す指標を「アミノ酸スコア」と呼びます。
各必須アミノ酸の必要量をすべて満たす食品のアミノ酸スコアは「100」となり、数値が100に近いものほど良質なタンパク質といえます。たとえば、鶏肉や牛肉、大豆、卵などの食品はアミノ酸スコアが100であり、良質なタンパク質を含む食品だといえるでしょう。タンパク質は米やパンなどの植物性の食品にも含まれていますが、動物性食品に比べるとアミノ酸スコアが低くなる傾向があります。良質なアミノ酸を効率的に摂取するには、食生活の工夫に加えてプロテインも適度に取り入れると良いでしょう。
プロテインの栄養素で気をつけたいポイント
プロテインにはタンパク質をはじめとする重要な栄養素が多く含まれますが、摂りすぎると臓器への負担になったり、カロリーの過剰摂取で太りやすくなったりする可能性があります。
内蔵への負担
一般的に、タンパク質を過剰に摂取しても健康に大きな影響はないとされています。しかし、腎機能が低下している場合にはタンパク質の過剰摂取によって腎臓に負荷がかかりやすいとされています。腎機能の低下を指摘されている方や腎臓病で治療中の方は、タンパク質の摂取量については主治医の指示に従いましょう。
摂取カロリーの増加
タンパク質にもカロリーがあり、タンパク質1gあたりのエネルギー量は4kcalです。カロリーは余分に摂取すると体脂肪としてからだに蓄えられ、体重増加につながる可能性があります。摂取カロリーをなるべく抑えたい方は、プロテイン中の糖質やカロリーも考慮して選ぶと良いでしょう。
プロテインを活用して健康な毎日を過ごそう
プロテインにはタンパク質に加えて、日々の食生活だけでは不足しがちなビタミン・ミネラルなどが含まれる製品もあります。そのため、普段から運動習慣がある方だけでなく、ダイエット中で栄養バランスが偏りがちな方や栄養不足を感じている方にも活用するメリットがあるでしょう。
プロテインに含まれているタンパク質によっては吸収スピードや腹もちのよさなどが異なるので、目的に合わせて選んでみてください。
本記事の監修者
医学博士・永田孝行
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。
主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会
公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/