アミノ酸とプロテインは
どちらを選ぶべき?
アミノ酸とプロテインはどちらを選ぶべき?
それぞれの違いや摂取タイミングを解説
トレーニングやボディメイクに励む人にとって、プロテインはもはや欠かせないアイテムです。しかし、トレーニングをしている方のなかにはプロテインだけでなく、アミノ酸の摂取を推奨している人もいます。アミノ酸とプロテインには、一体どのような違いがあるのでしょうか?
そこで今回は、それぞれの代表的な働きや選び方など、アミノ酸とプロテインの違いを徹底的に解説します。
アミノ酸とプロテインの違いとは?
「プロテイン(protein)」とは、英語でタンパク質を指す言葉です。私たちが日ごろ目にする「プロテインドリンク」や「プロテインバー」などは、すべてタンパク質の摂取を目的とした製品になります。
一方、アミノ酸とはタンパク質を構成する最小単位のことです。食事やサプリメントでプロテインを摂取すると、私たちの体内ではタンパク質が分解され、アミノ酸として吸収されます。アミノ酸には全20種類があり、どれか1つでも欠けるとタンパク質を合成することはできません。
また、アミノ酸は体内で合成できる非必須アミノ酸(11種類)と、体内で合成できない必須アミノ酸(9種類)に分けられます。
プロテインの代表的な働き

プロテイン(タンパク質)は、筋肉や内臓など、私たちの体をつくる材料になります。
筋組織は、運動やトレーニングで刺激を与えられることで一度破壊され、回復するときに増大します。この破壊と回復により筋肥大が起こることを「超回復」といいます。筋肉を増やすためには、筋肉が回復するタイミングでタンパク質を摂取することが大切です。
プロテインドリンクやプロテインバーなどでタンパク質を効率的に摂取すれば、トレーニングによる筋力増大をサポートしてくれるでしょう。タンパク質を肉や魚、卵などから摂取する場合と比べて、余分な脂肪を摂取してしまうリスクも少なく済みます。
アミノ酸の代表的な働き
アミノ酸にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる働きを持ちます。必須アミノ酸、非必須アミノ酸に分けて、それぞれの代表的な役割を解説しましょう。
必須アミノ酸
必須アミノ酸には、以下の9種類があります。
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- スレオニン
- メチオニン
- リジン
- フェニルアラニン
- トリプトファン
- ヒスチジン
なかでもとくに注目したいのが、バリン・ロイシン・イソロイシンです。これら3つのアミノ酸はまとめて「BCAA」と呼ばれています。筋肉の増量に重要な役割を果たすとされ、プロテインと並んで注目を集めている栄養素です。そのほか、トリプトファンは「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの材料になったり、フェニルアラニンはドーパミンやノルアドレナリンの材料になったりと、体内でさまざまな役割を持ちます。
いずれも体内でつくりだせないため、積極的に摂取するよう推奨されています。
非必須アミノ酸
非必須アミノ酸には、以下の11種類があります。
- グリシン
- アラニン
- グルタミン酸
- グルタミン
- セリン
- アスパラギン酸
- アスパラギン
- チロシン
- システイン
- アルギニン
- プロリン
非必須アミノ酸は体内で合成できますが、人間にとっては重要な栄養素ばかりです。たとえば、「グルタミン」には小腸のエネルギー源として働き、栄養の吸収を助ける役割があります。また、「グリシン」は神経伝達物質として働くだけでなく、スムーズな睡眠をサポートするともいわれています。
プロテインのメリット・おすすめの摂取タイミング
プロテイン(タンパク質)には20種類のアミノ酸がすべて含まれているため、アミノ酸をバランス良く摂取できます。スーパーやコンビニなどでも手に入りやすく、リーズナブルな製品も多いため、手軽に取り入れられるのもメリットです。また、近年はタンパク質だけでなく、ビタミン・ミネラルや食物繊維がプラスされた製品も増えているので、目的に合わせて使い分けるのも良いでしょう。
プロテインを摂取するタイミングとしては、夜寝る前や起床時、運動前後などがおすすめです。タンパク質は寝ている間にも消費されるため、就寝前や起床時にプロテインを摂取することで不足を補えます。
運動前なら体を動かす2時間前、運動後なら30分以内に摂取すると良いでしょう。
アミノ酸のメリット・おすすめの摂取タイミング

アミノ酸は、BCAAのように必要な栄養素をピンポイントで摂取したい人に向いています。
アミノ酸はタンパク質の最小単位であるため、プロテインと比べて吸収スピードが速いといわれています。そのため、運動前後など、素早く筋肉のエネルギー源を補給したいときに適しているといえるでしょう。トレーニングする直前や直後など、なるべく速いタイミングで摂取するのがおすすめです。
アミノ酸やプロテインを摂取する際の注意点
アミノ酸サプリメントやプロテインを摂取する際は、以下のポイントに注意しましょう。
摂取のタイミングをずらす
アミノ酸とプロテインは吸収スピードが異なるため、併用する場合は摂取のタイミングをずらすことが大切です。アミノ酸とプロテインを同時に摂取すると、プロテインの消化・吸収にまき込まれ、アミノ酸の吸収スピードもゆっくりとなる可能性があります。
過剰摂取に注意する
アミノ酸やプロテインを過剰に摂取すると、腎臓に負担がかかる恐れがあります。もともと腎臓が弱い人は、医師に相談のうえでアミノ酸やプロテインを取り入れましょう。
食事のバランスに気をつける
アミノ酸やプロテインはあくまで栄養素の一種なので、すべての栄養を摂取できるわけではありません。炭水化物や脂質、ビタミン・ミネラルや食物繊維など、全体の栄養バランスを考慮したうえで取り入れることが大切です。
プロテインを選ぶ際のチェックポイント
プロテインサプリメントを選ぶ際は、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
プロテインの種類
プロテインには、主に「ホエイプロテイン」「カゼインプロテイン」「ソイ(大豆)プロテイン」の3種類があります。それぞれ異なる特徴を持つので、目的に合わせて選ぶことが大切です。
ホエイプロテインは牛乳に含まれる成分で、消化吸収スピードの速さが特徴です。そのため、運動直後の栄養補給に向いています。
カゼインプロテインも牛乳に多く含まれる成分で作られていますが、ホエイプロテインと比べると消化吸収がゆっくりです。就寝前に摂取すれば、寝ている間も持続的にタンパク質を補えるでしょう。
また、ソイプロテインは大豆たんぱく質を使って作られたプロテインです。消化吸収がゆっくりで、女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きが期待でき、美容効果も見込めます。
料金
無理なく継続するために、自分にとって続けやすい価格帯の商品を選ぶことが大切です。プロテインの相場は4,000〜5,000円/kgほどで、成分にこだわった商品は10,000円/kgほどになるケースもあります。
糖質の配合
プロテインには、糖質が配合されているタイプもあります。タンパク質のみを補いたい場合や、糖質の摂取量を調整している場合は、糖質を配合していない商品を選ぶと良いでしょう。
アミノ酸を選ぶ際のチェックポイント
アミノ酸サプリメントを選ぶ際は、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
アミノ酸を摂取する目的
アミノ酸サプリメントには、トレーニングや美容など、さまざまな目的のものが市販されています。「筋肉を大きくしたい」「美容に役立てたい」など、それぞれの目的に合う商品を選ぶことが大切です。
アミノ酸の配合量
アミノ酸サプリメントを比較する際は、配合量にも注目してみましょう。たとえばBCAAの場合は、1回に2,000mg以上を摂取すると良いとされています。
アミノ酸やプロテインと一緒に摂取したい栄養素
アミノ酸やプロテインの働きを高めたいなら、ビタミンB群と一緒に摂取するのがおすすめです。
ビタミンB群は「代謝」と密接な関わりがあります。たとえば、ビタミンB1は糖質の代謝を助ける働きがあり、トレーニングをするときのエネルギー源を十分につくりだせます。また、ビタミンB2は脂質の代謝に関わっており、運動で余分な脂肪にアプローチしたい方におすすめです。そして、ビタミンB6は、一度分解されたタンパク質をアミノ酸に再合成する際に役立つ栄養素です。普段からアミノ酸やプロテインを多く摂取している方は、ビタミンB6を一緒に摂ることでプラスの効果を期待できるでしょう。
まとめ
アミノ酸は、タンパク質を構成する最小単位です。アミノ酸とプロテインの最大の違いは、摂取したときの吸収スピードだと言えます。プロテインとアミノ酸を上手に使い分ければ、ダイエットやボディメイクにプラスの影響を期待できるでしょう。食事全体のバランスを考慮したうえで、栄養補助食品やサプリメントを活用しながら効果的に摂取してみてください。
本記事の監修者

医学博士・永田孝行
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。
主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会
公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/